2005 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-炭素結合開裂を伴うアリルジルコニウム反応剤の調製とその利用
Project/Area Number |
05J02223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 康次 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レトロアリル化 / アリル化 / ホモアリルアルコール / トリアルキルボラン / シラシクロブタン / ガリウム / パラジウム / ニッケル |
Research Abstract |
(1)レトロアリル化を鍵とする炭素-炭素結合開裂を用いたアリル金属反応剤の発生とその利用 一年目の研究課題に取り組む中、炭素-炭素結合開裂にジルコニウムよりもガリウムが有効であることを見いだしだ。すなわち、第三級のホモアリルアルコールに対しメチルグリニャール反応剤と塩化ガリウムを作用させると炭素-炭素結合開裂、すなわちレトロアリル化が起こりアリルガリウムが発生する。これは種々のアルデヒドと反応し、対応する第二級のホモアリルアルコールを与えた。さらに立体化学が決まったホモアリルアルコールを原料として用いると、系内で立体特異的にアリルガリウムが発生し、これがアルデヒドと反応することで原料のホモアリルアルコールの立体化学がほぼ完全に転写された第二級ホモアリルアルコールが得られることも明らかにした。 上記のレトロアリル化によるアリル金属反応剤の発生は、ガリウムなどの典型金属のみならず、遷移金属にも適応できることを見いだした。パラジウム触媒存在下、ホモアリルアルコールと塩基を用いてハロゲン化アリールを効率よくアリル化できる。この場合もガリウムと同じく原料のホモアリルアルコールの位置、及び立体化学が系内で発生するアリルパラジウムを介して生成物へと転写さることを明らかとし、従来法では困難であるハロゲン化アリールの位置、及び立体特異的なアリル化反応に成功した。 (2)ニッケル触媒によるアルデヒドの変換反応の開発 (1)の研究を行う中、偶然にもニッケルの興味深い触媒作用を見いだした。ニッケル触媒存在下、本来求電子的であるトリアルキルボランがアルデヒドをアルキル化する。また、ヒドロボランによるオレフィンのヒドロホウ素化で調製されるトリアルキルボランも利用できることを明らかにした。 さらにシラシクロブタンとの反応も触媒し、シラシクロブタンの環開裂、及び環拡大を伴う反応が進行することを明らかとした。
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Research Products
(5 results)