2006 Fiscal Year Annual Research Report
RhoファミリーG蛋白質Rnd2とエフェクター、ラポスリンの新規神経機能の探究
Project/Area Number |
05J02337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柿本 哲宏 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経突起 / 分枝化 / 細胞膜陥入 |
Research Abstract |
最近、私の研究するラポスリンと非常に相同性の高い分子、Toca-1が同定され、N-WASPのアクチン重合活性に必須であると生化学的実験で示された。そこで、私はRnd2-ラポスリンの神経機能の分子機構を解明するために、まず、このToca-1の神経機能を調べた。Toca-1は発達段階初期の脳において、海馬などの神経細胞に強く発現していた。神経細胞のモデル細胞であるPC12細胞において、Toca-1は細胞膜陥入作用をもつF-BAR/EFCドメインを介して神経突起伸長を抑制し、この抑制作用にN-WASPとの相互作用は不要であった。さらに、ラット初代培養海馬神経細胞において、Toca-1は軸索の分枝化は抑制したが、軸索伸長には影響しなかった。これに対して、N-WASPは軸索の分枝化に加えて軸索の伸長も抑制した。このことから、上述の報告とは異なって、Toca-1はN-WASP活性化に必ずしもいつも関与している訳ではないことがわかった。Toca-1はF-BAR/EFCドメインを通じて膜輸送機構を制御して軸索の分枝化を抑制していると考えられるので、ラポスリンの神経機能においても、F-BAR/EFCドメインによる膜輸送の調節機構が重要な役割を果たしていると推測された。そこで、ラポスリンの脳における発現を調べたところ、Toca-1とは対照的に、ラポスリンは発達段階後期において、海馬や大脳皮質などの神経細胞に強く発現していた。この時期の神経細胞では、シナプス後部構造体スパインの形成が盛んに行われているので、ラポスリンのスパイン構造形成における機能を調べた。初代培養海馬神経細胞においてラポスリンをノックダウンすると、スパインの形成が抑制された。今後は、Rnd2-ラポスリンによるスパイン形態制御機構とその生理的役割を解明するべく、さらに研究を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)