2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03585
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田邊 知孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / 鉄獲得系 / シデロフォア / Vibrioferrin / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
腸炎ビブリオは自身の産生する三価鉄輸送キレーター(シデロフォア)であるvibrioferrin(VF)を介する鉄獲得系を有している。この系は鉄制限下である宿主内において本菌の増殖を促進させると考えられる。VF利用系を解明していくことは、本菌による感染の成立過程を理解する上で重要であり、さらに本菌の鉄獲得系の阻止に基づく感染予防の方策の提供に繋がる。 1、VF排出ポンプ遺伝子(pvsC)の解析 VF生合成オペロン(pvsABCDE)中に存在するpvsC遺伝子(12-TMS MFS蛋白質をコードする)の欠失株、及びその相補株を作製した。CAS plate解析やHPLC解析の結果、pvsC欠失株はVFの排出能が親株に比較して減少したが、相補株ではVFの排出能は親株と同程度に回復した。従って、PvsC蛋白質はVFの効果的な排出に関与することが判明した。pvsC欠失株において少量のVFの排出が確認され、PvsC蛋白質以外のVF排出系の存在が示唆された。しかし親株が増殖できる鉄制限培地においてpvsC欠失株は増殖できなかったため、PvsCが主のVF排出ポンプであると言える。 2、PvsA、及びPvsE蛋白質の精製 大腸菌を用いた蛋白大量発現系を利用し、新規機能を有する可能性のあるPvsA及びPvsEについてそれぞれのHis-tag融合蛋白質を発現させ、精製した。 3、PvsA、及びPvsE蛋白質の機能解析 VFは2-ケトグルタル酸、L-アラニン、エタノールアミン、クエン酸の4つの成分から成る。PvsA及びPvsEの基質特異性についてはVFの構成成分と、PvsA及びPvsEの相同性検索の結果を基にして現在検討中である。また、PvsB及びPvsDについてもHis-tag蛋白質発現系を構築中であり、これらはVF生合成経路の全容解明に役立つと考えられる。
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Research Products
(2 results)