2005 Fiscal Year Annual Research Report
食用植物およびその成分によるアリール炭化水素受容体の形質転換調節機構の解明
Project/Area Number |
05J04016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西海 信 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダイオキシン / アリール炭化水素受容体 / モロヘイヤ / Hepa-1c1c7 / Caco-2 / HepG2 |
Research Abstract |
環境汚染物質であるダイオキシン類は、細胞質に存在するアリール炭化水素受容体(AhR)に結合しこれを形質転換させる。このAhRの形質転換がダイオキシン毒性発現の初発段階であるので、この形質転換を抑制することが毒性の予防・軽減につながると考えられる。これまでの研究により食品である野菜や果物の中で、モロヘイヤが動物個体を用いたin vivoの系でAhR形質転換抑制効果を発揮するということが認められたので、本年度の研究ではAhRの形質転換抑制に寄与するモロヘイヤ中の活性成分の単離・同定を目的とした。モロヘイヤ抽出物の水懸濁液について溶媒分配を行い、得られたヘキサン、酢酸エチル、ブタノール、そして水溶性画分をそれぞれラット肝臓細胞質画分、あるいは培養細胞であるマウス肝がん由来Hepa-1c1c7細胞に作用させてAhR形質転換抑制効果を検討したところ、ヘキサン画分と酢酸エチル画分とが強い効果を示した。MCIゲルカラムクロマトグラフィーにより成分を単離し、NMRやGC/MSに供した結果、ヘキサン区分中よりクロロフィルa、クロロフィルb、そしてルテインを同定した。しかし、これらの化合物はいずれもヒト結腸腺がん由来Caco-2細胞とヒト肝がん由来HepG2細胞とを組み合わせて構築した腸管透過モデルでは強い効果を発揮しなかった。実際にヘキサン画分自体も腸管透過モデルでは効果を示さなかった。そこで、酢酸エチル画分をCaco-2細胞とHepG2細胞と用いた腸管透過モデルに供した結果、有意にAhRの形質転換を抑制した。これらの結果より、動物個体を用いたin vivoの系で効果を発揮した活性成分は酢酸エチル画分中に存在していることが示唆された。現在、酢酸エチル画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーによりさらに分画し、そこに含まれる活性成分の単離・同定を行なっている。
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Research Products
(1 results)