2005 Fiscal Year Annual Research Report
VEGFに誘導される細胞間接着崩壊におけるコフィリン活性調節機構とその役割
Project/Area Number |
05J04902
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 美穂 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | VEGF / コフィリン / LIMキナーゼ / slingshot / アクチン細胞骨格 / 細胞間接着 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は細胞どうしが強固に結合し、血液が外にもれ出ないようにバリヤーとしての機能を果たしており、Vascular endothelial growth factor (VEGF)は血管内皮細胞の細胞間接着を崩壊させるとが知られている。 まず血管内皮細胞において、VEGFにより細胞間接着を崩壊させた時のLIMキナーゼ1(LIMK1)およびslingshot1(SSH1)の活性変化を調べた結果、どちらもほぼ同時に活性が変化することがわかった。次にLIMK1、SSH1、コフィリンおよびリン酸化コフィリンの細胞内局在を細胞染色によって観察した。その結果、LIMK1は細胞間接着部位には無く、それ以外の細胞全体に局在していたが、対照的にSSH1は細胞間接着部位に集積していた。またコフィリンは細胞間接着部位に集積していたのに対し、リン酸化コフィリンの染色は細胞間接着部位が抜けてみえた。これらの結果から細胞間接着部位には非リン酸化型コフィリンが必要で、そこにSSH1が局在化することで局所的にコフィリンが脱リン酸化されていることが示唆された。一方、VEGFによって細胞間接着を崩壊させると、細胞の先導端部位でのLIMK1およびSSH1の共局在化が観察された。 次に過剰発現系の共沈実験において、VEGFの下流でLIMK1を活性化させるMAPKAPキナーゼ2(MK2)が、細胞内でLIMK1およびSSH1と結合することがわかった。また精製タンパク質を用いた実験により、LIMK1とSSH1は直接結合しないが、これらはMK2との結合を介することで3重複合体を形成することがわかった。そしてSSH1はMK2によりリン酸化された。これらの結果から、VEGFにより細胞間接着が崩壊する時にMK2がLIMK1およびSSH1の活性を時空間的に制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)