2005 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症発症におけるガラクトース糖鎖の役割に関する研究
Project/Area Number |
05J05556
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西江 敏和 金沢大学, 医学系研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | ガラクトース転移酵素 / IgA腎症 / ノックアウトマウス / 糖鎖 |
Research Abstract |
β-1,4-ガラクトース転移酵素-I(β4GalT-1)は、N-アセチルグルコサミンまで伸長してきた糖鎖にガラクトースをβ-1,4結合で転移する酵素活性を持つことが知られている。これまでの研究により、β4GalT-1のKOマウスがIgA腎症様病態を呈すること、血清IgA濃度が対照マウスに比して約10倍の高値であり主に二量体・多量体IgAから構成されることを明らかにした。さらに、β4GalT-I KOマウス由来の血清IgA分子のN型糖鎖にはガラクトースが完全に欠損していることが明らかとなった。このことから、IgAの糖鎖不全がβ4GalT-I KOマウスにおけるIgA腎症発症の原因であることが示唆されるが、IgAの糖鎖が原因であるという証明には至っていない。また、高IgA血症の原因も不明のままである。今回我々は、主に高IgA血症の原因についてさらに解析を進めた。 高IgA血症の原因として、IgAの粘膜輸送、産生、代謝などの異常が考えられた。まず、糞便中のIgA濃度を定量したところ、β4GalT-I KOマウスとコントロールマウスに差はみられなかった。このことから、IgAの粘膜輸送は正常であることが示唆された。また、脾臓、パイエル板、腸間膜リンパ節におけるIgA陽性細胞率もコントロールと変わらなかった。加えて、β4GalT-I KO及びコントロールマウス由来の血清IgAをB6マウスに静注して血中代謝速度を解析した結果、β4GalT-I KOマウス由来の糖鎖不全IgAは正常IgAに比べ、投与後30分間は有意に代謝速度が遅くなったが、60分後には差は認められなかった。以上の結果は、今回検討することができた以外の別の可能性が高IgA血症の原因となっていることが考えられるため、さらに検討が必要であると思われた。
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Research Products
(2 results)