2006 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症発症におけるガラクトース糖鎖の役割に関する研究
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05J05556
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西江 敏和 金沢大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガラクトース転移酵素 / IgA腎症 / ノックアウトマウス / 糖鎖 |
Research Abstract |
β-1,4-ガラクトース転移酵素-I(β4GalT-I)は、糖鎖の生合成に関わる糖転移酵素の一種であり、N-アセチルグルコサミンまで伸長してきた糖鎖にガラクトースをβ-1,4結合で転移する酵素活性を持つことが知られている。これまでの研究により、我々の作製したβ4GalT-IのKOマウスがIgA腎症様病態を呈すること、血清IgA濃度が対照マウスに比して約10倍の高値であり主に二量体・多量体IgAから構成されることを明らかにした。さらに、血清IgA分子のN型糖鎖の構造解析により、β4GalT-I KOマウス由来の血清IgA分子の亙型糖鎖にはガラクトースが完全に欠損していることが明らかとなった。このことから、IgAの糖鎖不全がβ4GalT-IKOマウスにおけるIgA腎症発症の原因であることが示唆されるが、IgAめ糖鎖が原因であるという証明には至っていない。また、高IgA血症の原因も不明のままである。 本年度は、以下の3点について検討を行った。 1)β4GalT-I KOマウスにおけるIgA腎症様病態について、糸球体硬化の程度及び病変の認められる糸球体の頻度について、週齢を追って検討を行った。β4GalT-I KOマウスは、コントロールマウスに比べてPAM陽性となる糸球体メサンギウム領域が2-3倍程度に増加していた。また、β4GalT-I KOマウスは10週齢において約7割の糸球体が分節性病変を示し、加齢に伴い全節性病変の増加が観察された。 2)発症機構解明のため、骨髄移植の検討を開始した。現在予備実験を終了し、本実験に移行する段階まで進めることができた。 3)糸球体病変増悪化に関与する遺伝子を、マイクロアレイを用いて調べた。β4GalT-I KOマウス及びコントロールマウスの腎皮質よりmRNAを調整し、マイクロアレイを行うことにより発現の上昇していた遺伝子、発現の減少していた遺伝子を複数得ることができた。今後、これらの遺伝子の役割をβ4GalT-I KOマウスで調べることにより、IgA腎症の増悪因子にこれらの遺伝子がどのように関与するかの所見が得られると期待できる。 なお、昨年度までの結果及び1)の結果をまとめて、American journal of pathologyに掲載することができた。
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Research Products
(1 results)