2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素系ナノフィラーを用いた高分子ナノハイブリッド薄膜材料の創製
Project/Area Number |
05J06242
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
穂坂 直 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子薄膜 / シルセスキオキサン / ハイブリッド / リビングラジカル重合 |
Research Abstract |
本研究は、ケイ素系ナノフィラーの添加よる高分子薄膜の改質を目的としており、すでにかご型シルセスキオキサン(POSS)のシクロペンチル置換体(CpPOSS)の添加がポリスチレン薄膜の熱安定性を向上させることを明らかとしている。一方で、CpPOSSは、薄膜中で凝集体を形成し、薄膜の表面粗さを増大させるという問題点を有していたため、本年度は、薄膜中におけるナノフィラーの分散性を向上させるため、その表面修飾法として、リビングラジカル重合を用いた表面開始重合について検討した。 リビングラジカル重合開始能を有する2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシ(TEMPO)誘導体に、トリエトキシシリル基を導入し、溶液からの吸着によりシリコン基板上に開始剤を固定化した。さらに、スチレンの表面開始重合により、シリコン基板上に固定化されたポリスチレングラフト鎖を得た。得られたグラフト鎖上にフリーのポリスチレンのスピンキャスト膜を調製し、グラフト鎖とマトリックス高分子の親和性について評価したところ、単位面積当たりのグラフト鎖数が多く、密なグラフト鎖が形成されている場合は、疎なグラフト鎖と比較して、上に形成されたスピンキャスト膜の熱安定性が低く、無機材料表面の修飾率がマトリックス高分子との親和性に影響を及ぼすことが示唆された。 一方、POSS表面にTEMPO骨格含有開始剤を固定化しスチレンを重合することにより、表面にポリスチレン鎖を有するPOSSを合成し、ポリスチレン薄膜中での分散性を評価したところ、表面にポリスチレン鎖を有しないCpPOSSと比較して、薄膜中における分散性の向上が確認された。また、いずれのPOSSの添加においても、ポリスチレン薄膜の熱安定性の向上が見られた。
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Research Products
(2 results)