2005 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性放線菌アミラーゼのデンプン結合ドメインと触媒活性・基質特異性との関係
Project/Area Number |
05J06519
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
安部 暁美 香川大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線結晶解析 / α-アミラーゼ / プルラン / 構造生物学 / 多糖加水分解酵素 / デンプン結合ドメイン |
Research Abstract |
好熱性放線菌Thermoactinomyces vulgaris R-47が産出するα-アミラーゼ(TVA1)は、デンプンやアミロースの加水分解といった一般的なα-アミラーゼの触媒活性に加えて、構造中にα-(1,6)結合を規則的に含むプルランをも加水分解するという基質特異性を示す。プルランは黒酵母の一種が産出する多糖で、一般のα-アミラーゼは加水分解することができない。そこで、TVA1がどのようにしてプルランを結合し加水分解するのかを明らかにするため、触媒残基を他のアミノ酸残基に置換した不活性型TVA1と、プルランと同様の結合様式をもっオリゴ糖を用いて、TVA1とプルランモデルオリゴ糖の複合体を作成し、そのX線結晶解析を行った。 TVA1とプルランを加水分解しない一般的なα-アミラーゼとで、活性部位の構造を比較したところ、TVA1の活性部位は特徴的な形状を示すことが明らかになった。α-(1,6)結合を含む糖は、構造中のα-(1,6)結合の存在のために、一般のα-アミラーゼの基質であるα-(1,4)結合のみから構成される糖とは、その構造が大きく異なる。TVA1とプルランモデルオリゴ糖複合体におけるプルランモデルオリゴ糖を、一般のα-アミラーゼの活性部位に重ね合わせたところ、プルランモデルオリゴ糖の非還元末端側は一般のα-アミラーゼの活性部位を形成する壁と立体衝突を起こした。TVA1ではその部位を形成するループが8アミノ酸残基分短くなっているため、TVA1の活性部位は大きく開いたものとなっており、立体衝突を起こすことなくプルランを結合し、加水分解するものと考えられた。
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Research Products
(1 results)