2005 Fiscal Year Annual Research Report
クーロン分解法による硫黄同位体の陽子捕獲反応断面積の決定
Project/Area Number |
05J06673
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
栂野 泰宏 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天体核物理学 / 不安定核反応 / クーロン分解反応 / 爆発的水素燃焼過程 / 磁気二重極モーメント |
Research Abstract |
硫黄同位体^<30>Sの陽子捕獲反応断面積を決定するためには^<31>Clの第一励起状態から基底状態への遷移確率を決定する必要がある。換算遷移確率にはM1遷移成分とE2遷移成分が存在し、陽子捕獲反応ではM1遷移確率が全遷移確率のほとんどを占めている。しかし本研究で用いるクーロン分解法はE2遷移に非常に敏感であり、本来支配的であるはずのM1遷移確率の測定は困難である。そこで手法の検討を行い、その手法を用いれば測定可能であることを発見した。またその手法に基づき実験のシミュレーションを行った。さらにその結果を用いて理化学研究所に原子核課題採択委員会に実験計画書を提出した。この詳細を以下にまとめる。 1.クーロン分解法におけるM1遷移成分の測定手法の検討 クーロン分解法を用いたM1遷移成分の測定手法を仮想光子理論と歪曲波ボルン近似計算を用いて検討した。その結果クーロン分解においてM1成分は測定可能な強度で励起され、さらに散乱粒子の微分断面積の測定を行えばM1遷移とE2繊維の分離が可能であることがわかった。 2.実験のシミュレーションと検討 M1遷移成分は散乱角度前方(0〜2度)にほとんど分布するため散乱角度前方を詳細に測定する必要がある。これに基づき各検出器の配置を考えシミュレーションを行った。その結果、実験は実行可能であることが確認されるとともに詳細な散乱角度が測定可能で、M1遷移確率を十分な精度で決定可能であることがわかった。 3.原子核課題採択委員会 これまでの結果をもとに原子核課題採択委員会に実験計画を提出した。その結果10日間の実験を認められた。実験は2006年度に行われる予定となり、現在はその実験に向けて真空槽、検出器のテストを行っている。
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Research Products
(6 results)