2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06863
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
丸谷 和史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 時空間知覚 / 2次属性 / 運動残効 / 視覚的アウェアネス / 輪郭線処理 |
Research Abstract |
本年度は2次属性で定義された輪郭線処理の時間特性について詳細な検討を行った。一般に輝度という1次の統計量で定義された輪郭線に比べてそれ以外の属性である2次属性で定義された視覚刺激処理の時間特性は遅いと考えられているが、これを定量的に測定した研究は少ない。さらに、様々な2次属性に対する処理が同様の時間特性を持つのか、あるいはそれぞれがバラバラの時間特性を持つかと言う点についても明らかではなかった。今年度行った研究によって、同じ2次属性の輪郭線処理のなかでも、方位で定義された輪郭線処理の時間特性は1次のそれとほとんど変わらないのに対して、運動で定義された輪郭線処理の時間特性は半分程度と大幅に遅いことが示された。これは、高次の輪郭線処理が属性毎に行われている事を示唆している。 さらに、本年度は高次の運動処理と視覚的アウェアネスとの関係についても研究を行った。一般に動的運動残効の両眼転移成分は高次の運動処理過程の働きを反映していると考えられている。この成分をdCFSと呼ばれる特殊な両眼間抑制の方法を用いて刺激に対するアウェアネスが完全に抑制された状況下で測定した結果、これが完全に消失することを示した。これは高次の運動処理と視覚的アウェアネスが本質的な関連を持つことを示す結果である。一方で、この視覚的アウェアネスが完全に抑制された状況下でも静的な運動残効は頑健に知覚される事が示された。これは、初期の運動検出と高次の運動検出におけるアウェアネスの役割の質的な差異を明確に示す結果である。
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Research Products
(1 results)