2007 Fiscal Year Annual Research Report
sp^2シリルアニオンを用いた新規π電子共役系分子の創成
Project/Area Number |
05J07339
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井上 茂義 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケイ素 / sp^2型シリルアニオン / ホウ素 / ジシレン / シレン / 電子環状反応 / 紫外可視吸収スペクトル |
Research Abstract |
sp^2型のシリルアニオン種は、ケイ素-ケイ素二重結合を保持したまま様々な化合物に導入できることから、含ケイ素不飽和結合化学種合成のための新規なビルディングブロックとして期待できる化合物である。そこで本研究では、すでに合成に成功しているsp^2型のシリルアニオン種を用いて新規な含ケイ素不飽和結合化学種の合成を行うことを目的とする。 ・ホウ素置換ジシレンの合成と構造 sp^2型シリルアニオンとカテコール及びピナコールボリルクロリドとの反応ではそれぞれ対応するホウ素置換ジシレンが生成することを見出し、その単離及び構造解析に成功した。各種NMR、UVスペクトル、X線構造解析の結果からホウ素置換基はジシレン平面に対して直交しておりホウ素上の空のp軌道とジシレンのπとの共鳴の寄与がほとんどないことを明らかにした。 ・環状シレンの合成と構造 sp^2型シリルアニオンとビニルブロミド誘導体Br(R)C=CH_2(R=H,Ph,SiMe_3)との反応では、求核置換反応及び続く電子環状反応を経て四員環シレンを与えることが分かった。シレン炭素上に水素、Me_3Si基を持つ誘導体のπ-π*遷移は322,330nmにそれぞれ観測されたのに対し、フェニル基誘導体は約60nm長波長シフトしており(389nm)、フェニル基の共役効果が強く発現することを明らかにした。
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