2005 Fiscal Year Annual Research Report
地磁気擾乱時における中緯度電離圏へのエネルギー輸送機構の研究
Project/Area Number |
05J07516
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津川 卓也 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | GPS / 全電子数 / 伝搬性電離圏擾乱 / 地磁気擾乱 / 地磁気共役 / 電離圏 / 大気重力波 / 磁気嵐 |
Research Abstract |
日本と豪州のGPS受信機網から得られる電離圏全電子数(TEC)観測により、大規模伝搬性電離圏擾乱(LSTID)の地磁気共役性を調べた。 LSTIDは水平波長1,000km以上の波状構造を持つ現象で、磁気嵐時に磁気圏からのエネルギー流入により発生する大気重力波によって起こされていると考えられている。オーロラ帯へのエネルギー流入は、南北両半球で同時に起ると考えられるが、LSTIDの共役性に着目した研究は、過去にほとんど例が無い。そこで、LSTIDの出現及び伝搬の南北共役性について、日本及び豪州のGPS受信機網データを用いて調べた。 まず、LSTIDの南北同時出現性を調べるために、1999年9月22日及び2002年全期間における日本のTEC2次元マップ及び、オーストラリアのGPS受信機を利用し、南北半球でそれぞれLSTIDの出現数を調べた。その結果、地磁気擾乱時(Kp≧5)においては、北半球で20イベント、南半球で21イベント、地磁気静穏時(Kp≦4)においては、北半球で15イベント、南半球で10イベントであった。これらのLSTIDイベントのうち、同時刻(±1時間以内)において両半球でLSTIDが出現していたものはKp≧5の場合で5イベント、Kp≦4の場合で0イベントであった。このことから、地磁気擾乱時であっても、LSTIDが南北同時に中緯度で出現する可能性は低いことがわかった。 次に、南北同時にLSTIDが観測された5イベントについて、地磁気共役点における伝搬速度及び出現時刻を詳しく調べた。その結果、両半球のLSTID伝搬速度は、10-40%の違いが見られた。また、出現時刻に関しても、数十分の差があることがわかった。これらのことから、両半球で同時出現したLSTIDは、両半球の電磁気的な結合はなく、それぞれの半球で独立に伝搬する大気重力波の現れであるということが明らかになった。
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Research Products
(3 results)