2006 Fiscal Year Annual Research Report
児童・青年期の解離傾向-その発達因とこころの問題に与える影響について
Project/Area Number |
05J07776
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉住 隆弘 名古屋大学, 大学教育発達科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 解離 / 抑うつ / 養育態度 / 侵入記憶 / PTSD |
Research Abstract |
既に投稿していた英語論文二本の修正と再投稿を行い、今年度採択に至った(11.研究発表欄参照)。養育態度と抑うつの関係性が、ストレスへの防衛機制である解離によって、どのような影響を受けているのかについて検討した。その結果、過保護な養育態度や一貫性のない養育態度が、解離傾向を促進し、結果的に抑うつ傾向を強めていることが明らかになった。 今年度は新たに、記憶の特異な一側面とされる侵入記憶と解離の関連性についての研究を行った。侵入記憶はPTSD(Post-traumatic Stress Disorders:心的外傷後ストレス障害)患者に特異な症状とされているが、そのメカニズムについてはあまり知られていない。PTSDの理論を元に、感情の不安定性、思考抑制、反すう傾向、そして解離傾向などの心理的ファクターをとりあげ、その影響性についての比較検討を行った。その結果、解離は、他のファクターを考慮しても、侵入記憶の強さに独立に影響を与える因子であることが明らかになった。その知見を海外のジャーナルに投稿し、現在審査中である。またH19年度は、その結果を、海外の学会でも報告予定である。それ以外にも、解離の防衛機制としての特徴を明らかにしたものをまとめ、国内のジャーナルに投稿し、現在審査中である。 それと平行して、自傷行為および自殺企図と解離の関係性についての調査は、N大学病院精神科にて今年度までに100程度のデータコレクションを行った。来年度も引き続きデータを収集していく予定である。
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Research Products
(2 results)