2005 Fiscal Year Annual Research Report
児童・青年期の解離傾向-その発達因とこころの問題に与える影響について
Project/Area Number |
05J07776
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉住 隆弘 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 解離 / うつ / 養育態度 |
Research Abstract |
今年度は、解離のうつに与える影響および親から受けた養育態度との関わりについての研究報告を、神戸で行われた世界心身医学会議にて発表し、さらに知見をまとめて海外ジャーナル2誌に投稿した。これらについては現在審査中である。 研究内容を概説する。養育態度が後のうつ傾向に与える影響は一般に知られており、配慮のなさや過保護や養育態度の影響性が報告されてきた。またその関係性を媒介する心理的ファクターについても、自尊感情や原因帰属などの様々な要因が取り上げられてきた。本研究ではストレスへの防衛機制である解離を新たな媒介変数としてとりあげ、養育態度とうつへの関係性への影響力を検討した。また、認知行動療法の知見から、うつと強い関連があるとされている回避的コーピングをとりあげ、その影響力について、解離傾向のそれとの比較検討を同時に行った。その結果、解離は過保護な養育態度や一貫性のない養育態度によって促進され、その結果うつ傾向にも強い影響を与えていることが明らかになった。回避的コーピングとの比較においては、解離傾向の方がうつ傾向に対して強い影響力を持っていることが示された。 それと平行して、自傷行為および自殺企図と解離の関係性についての調査は、N大学病院精神科にて今年度は50程度のデータコレクションを行った。来年度も引き続きデータを収集していく予定である。 来年度は、記憶の特異な一側面とされる侵入記憶と解離の関連性についての研究を行う予定である。侵入記憶はPTSD(Post-traumatic Stress Disorders:心的外傷後ストレス障害)患者に特異な症状とされているが、そのメカニズムについてはあまり知られていない。PTSDの理論を元に、感情の不安定性、思考抑制、そして解離傾向などの心理的ファクターをとりあげ、その影響性についての比較検討を行う予定である。今年度は、そのための文献調査および日本心理学会やトラウマティックストレス学会に参加しての調査活動を行った。
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Research Products
(1 results)