2006 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な磁気浮遊式天秤の開発および流体の熱力学性質の解明
Project/Area Number |
05J08139
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
狩野 祐也 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱力学性質 / PVT性質 / 磁気浮上 / 密度計 / 磁気浮遊式天秤 |
Research Abstract |
本研究では、流体の圧力・密度・温度の相互関係を表す熱力学性質であるPVT性質を広範囲の領域にわたって高精度に測定することを目標として、磁気浮遊式天秤と呼ばれる流体密度測定装置の開発を行っている。既存の磁気浮遊式天秤では、圧力容器や測定試料流体のもつわずかな磁性により密度測定に100ppm程度の系統誤差が生じてしまうことが問題となっていた。本研究ではこの問題を解決するためこ圧力容器や試料流体の磁性が密度測定に与える影響を有限要素法の磁場解析により定量的に計算し、これらの影響を補正可能にする新しい磁気浮遊式天秤の測定方法ならびに測定技術を考案した。この新しい磁気浮遊式天秤装置により、磁化率が未知の流体であっても100ppm以下の不確かさで密度測定を行うことが期待できる。また、本装置は密度1次標準器である1kgシリコン球体を用いて校正されており、密度標準にトレーサブルな信頼性の高い実測値を得ることができる点も特筆すべき点である。 上記の新しい磁気浮遊式天秤の開発に関しては、温度範囲が0℃〜100℃程度、圧力範囲が真空〜10MPa程度を当面の測定範囲としている。現在までに試作機を作成し、装置が所望の動作を行うことを確認している。温度測定に関しては、恒温槽内の温度制御された伝熱媒体液中に磁気浮遊式天秤装置を設置し、伝熱媒体温度を測定することで試料流体温度とみなす間接測定法を採用しており、恒温槽内の温度は±1mK以内で制御可能である。圧力測定に関しては、水晶発振式圧力計により試料流体を直接測定する。現在、水などの密度標準物質を用いて装置全体の健全性の確認を行っている。
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Research Products
(1 results)