2005 Fiscal Year Annual Research Report
電磁誘起透明化を用いた単一光子状態の保存と再生の実現
Project/Area Number |
05J08559
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋葉 圭一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子光学 / 量子情報 / 非線形光学 / 光子統計 / 量子干渉効果 |
Research Abstract |
本研究は、電磁誘起透明化を用いて、パラメトリック蛍光(PF)を条件付き単一光子として利用し、これを原子集団のコヒーレンスとして保存し再生することを目的としている。この実現にあたり、PFのもつ周波数幅(〜THz)と原子系(〜MHz)の周波数幅がかみあわないという問題がある。そこで、光と原子系の周波数幅を一致させることが必要となる。 まず、PFの周波数幅を狭窄化し、原子系の周波数幅と一致させることを目的として研究を行った。原子と共鳴する周波数成分をもつPFは、ルビジウムD1線795nmのレーザー光を導波路型擬似位相整合リチウムナイアベート素子(PPLN)に入射し、397.5nmの第2高調波を発生させ、これを別のPPLNに入射することで、原子の共鳴線を中心とした約10THzの周波数幅をもつパラメトリック蛍光を得た。これを干渉フィルタ、2種のエタロンに入射し約2GHzの周波数幅まで狭窄化した。これ以上の狭窄化は共振器を用いて行う。これは、高反射率ミラーの仕様、MHz以内での共振器透過周波数の維持の技術的な難しさが要求される。そこで、共振器を特注し、その制御システムを構築した。狭窄化後のPFは、光子検出による時間相関測定により評価した。得られた時間相関幅440nsからその逆数の関係にある周波数幅は約1MHzとなり、原子系とかみあう周波数成分までPFの周波数を狭窄化できた。しかし、時間相関の強さは約3であり、単一光子状態として利用できる強い時間相関(>10)は得られなかった。これは共振器の制御が困難で共振器透過周波数の揺らぎが原因である。 そこで、次に原子系の周波数応答を広げられるかの研究を行った。ルビジウムガスを用いて電磁誘起透明化の周波数応答を詳細に調べた。この実験結果をもとに、古典光パルスの保存と再生の実験を行い、原子系の保存時の周波数幅が10MHzまで応答することがわかった。
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Research Products
(1 results)