2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的・免疫学的・海洋物理学的統合アプローチによるオニヒトデ広域動態の解明
Project/Area Number |
05J08669
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 仁奈 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オニヒトデ / サンゴ礁生態系 / 幼生種判別 / 集団解析 / マイクロサテライト / ミトコンドリア / 生殖腺観察 / 野外調査 |
Research Abstract |
生殖腺観察による産卵期の推定ならびに,ミトコンドリアDNA配列を用いた種判別法を用いて,宮古島北部に位置する八重干瀬において,オニヒトデの幼生採集調査と物理観測を行った.様々な水深から合計27個体の野外オニヒトデ幼生が同定された.水深別では水深7mから最も多く採集され,時期としては八重干瀬内において北東方向への流動場が卓越する満潮前後のサンプルからオニヒトデの幼生が見つかりやすい傾向がみられた.生殖腺観察による産卵期の推定は宜野湾市近海において6月から8月末にかけて行った. 高度多型を示す16個のマイクロサテライトマーカーの開発に成功した.PCRによる各遺伝子座の増幅は,CTAB法でDNAを精製することにより改善された.対立遺伝子数は3-12個(平均7.1,n=24)であり,16個のマーカー全てで多型が認められた.ヘテロ接合度の観察値(Ho)と期待値(He)はそれぞれ、0.087-0.913と0.163-0.892であった.この高度多型を示す本MSマーカーのうち,5個を用いて,高知県竜串,鹿児島県奄美大島,沖縄県宜野湾,石西礁湖から採集された,計252個体のオニヒトデを解析した.6ペア個体群のうち4ペア個体群で統計的に有意な集団分化が検出され,それらの地点間での遺伝子交流は制限されていることが示唆された.一方で残り2ペア個体群の竜串-宜野湾,宜野湾-石西礁湖のペア個体群に関しては統計的に有意な集団分化はみられなかった.地理的にはより近い竜串-奄美大島間では集団分化がみられ,より離れた竜串-宜野湾間で集団が混合している可能性が見られることから,竜串-宜野湾間では海流に運ばれた幼生の行き来がある可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)