2005 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの発生・分化におけるポリアミンの作用機構の解明
Project/Area Number |
05J08954
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Research Institution | Hokkaido University |
Research Fellow |
今井 章裕 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / スペルミン / 花茎伸長 / uORF / 翻訳制御 / 維管束 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのスペルミン合成酵素遺伝子ACL5の欠損変異体acl5-1は花茎伸長に欠損をもつ。本研究者は、花茎伸長におけるスペルミンの役割を明らかにするため、acl5-1の抑圧変異体(sac)に焦点を絞り研究を行った。 1)sac51-d-54-d変異体を、植物ホルモン関連の矮性変異体と掛け合わせ二重変異体を作ったところ、いずれのsacも花茎伸長欠損を回復させなかった。このことからsacの回復作用はacl5-1に特異的であると言えた。また、シロイヌナズナのもうひとつのスペルミン合成酵素遺伝子SPMSの欠損変異体を用い、sac acl5 spms三重変異体を作成したところ、スペルミンを完全に欠くこれらにおいても花茎伸長の回復が見られたことから、sacの回復作用にはスペルミンが全く必要でないと分かった。 2)sac51-d変異はbHLH型転写因子をコードする遺伝子(SAC51)のuORF内にあり、これによりmain ORFの翻訳レベルが上昇していることが示されている。そこでuORFを含む5'シーケンスを削除したSAC51をacl5-1に導入すると、花茎伸長の回復が見られた。これにより過剰量のSAC51によって花茎伸長の回復が促されていることが確かめられた。また、SAC51-GUSレポーター融合遺伝子を持つ形質転換植物の実験で、GUSの翻訳レベルがacl5-1およびsac51-d acl5-1において野生型の約半分程度に減少していることを明らかにした。 3)acl5-1およびsac51-d acl5-1において、野生型と比べ転写レベルで発現量が変化する遺伝子を同定するため、マイクロアレイ解析を行った。その結果、維管束分化に関わる多くの遺伝子がacl5-1で過剰に発現しており、sac51-d acl5-1で元に戻っていた。表現型と一致しないパターンで発現する遺伝子も複数同定された。
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