2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面増強ラマン散乱法の液液界面ナノマッピングとキラル計測への展開
Project/Area Number |
05J09906
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 茂樹 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 液液界面 / 表面増強ラマン散乱 / SERS / 銀ナノ粒子 |
Research Abstract |
液液界面に吸着した銀ナノ粒子を顕微観察するための顕微光学系,および測定用セルを作成し,銀ナノ粒子の液液界面吸着挙動を観察した.さらに液液界面その場において銀ナノ粒子から表面増強ラマン散乱(SERS)スペクトルを測定することに成功した.ナノ粒子を液液界面吸着させるために有機相にドデカンチオール(DT)を加え,もともと水相に存在するナノ粒子を液液界面へ吸着させた.DT濃度の増加に伴ってナノ粒子の界面濃度が増加することが顕微観察により明らかにされた.本来親水的であった銀ナノ粒子が,疎水性分子の吸着によって界面吸着性となったのである.興味深いことにDT濃度が大きくなると,液液界面にはナノ粒子のドメインが形成された.その場での顕微表面増強ラマン測定から銀ナノ粒子の表面分子の吸着状態が測定された.この測定によって,DT濃度の増加に伴って銀ナノ粒子の表面DTが液体状態/サブモノレイヤー吸着状態から固体状態/細密充填吸着状態へと変化することが分かった.この変化は液液界面吸着銀ナノ粒子のSERS基質としての活性に大きく影響することがわかった.SERSによってカチオン性色素の液液界面銀ナノ粒子への吸着を測定すると,カチオン性色素の吸着はナノ粒子表面分子の存在状態(固体状態または液体状態)に大きく依存した.液液界面に吸着した銀ナノ粒子を使用しSERS測定を行う場合には,事前にナノ粒子表面に吸着している分子の構造および密度を測定しておく必要があることがわかった.今回得られた結果を現在Langmuirに投稿中である.
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