2006 Fiscal Year Annual Research Report
人間活動に伴う大気汚染と自然の相互作用が大気環境に与えるインパクトの数値的研究
Project/Area Number |
05J10090
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
佐竹 晋輔 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 黄砂 / エアロゾル / 数値モデル / 東アジア / 物質循環 / 大気放射 |
Research Abstract |
本年度では、東アジア域のエアロゾル輸送の数年スケールのシミュレーションを行うとともに、日本に輸送されたエアロゾル層の鉛直分布や光学的特性について解析し、エアロゾルの長距離輸送とその鉛直分布の実態の解明を行った。数値モデルには、以前から開発・改良している化学物質輸送モデルを用い、モデル結果の検証には地上観測や衛星観測データを利用した。この検証の結果、モデルが観測されたエアロゾル層の鉛直分布や光学的厚さの変動を適切に再現していることを確認し(鵜野と佐竹,2007,Yumimoto et al.,2007)、また2003年9月に日本海で捉えられた局地的な光学的厚さのピークが、主に中国沿岸部起源の硫酸塩エアロゾルによるものであることを明らかにした(Kuji et al.,2006)。観測とモデル結果を用いてエアロゾル層の層の厚さを示すエアロゾルスケールハイトを新たに算出し(Hayasaka et al.,2007)、日本に輸送されたエアロゾル層の鉛直分布の実態について解析を進めた。その結果、日本に輸送される黄砂層や人為起源エアロゾル層の光学的厚さは冬季や春季に高く、夏季や秋季に低い、またそれらのエアロゾル層が分布している高度は冬季に低く、夏季に高いといった季節的な特徴を持つことを明らかにした。モデルによる解析を進めた結果、一年を通じて黄砂が主にその発生源から東に、発生時よりも高い高度で輸送され、また人為起源エアロゾルがその発生源から北東に、発生時とほとんど変わらない高度で輸送される傾向を持つことを明らかにした。さらにこの解析を2005年4月30日の大規模黄砂イベントに適用し、この黄砂層が日本上空で比較的高い高度に分布していたことを明らかにし(Yumimoto et al.,2007)、その原因として主に、高・低気圧間の強い上昇流によって、輸送中に舞い上げられたためであることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)