2005 Fiscal Year Annual Research Report
人間活動に伴う大気汚染と自然の相互作用が大気環境に与えるインパクトの数値的研究
Project/Area Number |
05J10090
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
佐竹 晋輔 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気汚染 / エアロゾル / 数値モデル / 風送ダスト / 高分解能シミュレーション / 長距離(越境)輸送 |
Research Abstract |
本年度では,土壌性ダストの発生・輸送過程の解明及び,ダスト輸送モデルの高精度化を研究目的と設定し,研究はまず,これまで開発してきた数値モデルを,ネスティング対応可能となるように改良することから行った.続いて,改良した数値モデルを用いて,2001年と2005年の東アジア域の高分解能ダスト輸送シミュレーションを行い,多くの観測結果との比較をもとに,その発生・輸送メカニズムの解析を行った. 2005年4月30日に日本上空で観測された高密度ダスト層の輸送構造や起源についての解析を行い,日本上空で観測されたダスト層は主にモンゴル南部の砂漠起源であるが,主に発生するタイミングや輸送経路の異なる二つのダスト層によって構成されていたことを明らかにした.さらにそれらのダスト層の発生・輸送のみをシミュレートする感度実験を行い,それらのダスト層が同時期に輸送されることで,より大きな光学的インパクトを日本上空の大気放射場に与えていたことを明らかにした. 2001年春季のタクラマカン砂漠(タリム盆地)におけるダスト輸送メカニズムについて解析を行い,タリム盆地内への寒気の高速な進入が,盆地内で重力流に似た流れが生じさせ,その流れによってダストが盆地の周囲の山を越えるのに十分な高さまで舞い上がることを明らかにし,タリム盆地内で発生したダストの自由大気への輸送メカニズムを解明した.さらに,タクラマカン砂漠とゴビ砂漠からのダストの輸送経路の比較を行い,ゴビ砂漠起源のダストは主に北緯45度地表から高度2kmまでを中心に輸送され,一方タクラマカン砂漠起源のダストは北緯40度,高度4-6km中心に輸送される傾向を持つ事を明らかにし,両砂漠から発生するダストの輸送傾向を明確に示した. これらの各年のダスト輸送構造についての研究成果はアメリカの気象学会や国内の学会で発表しており,現在雑誌投稿論文として準備中である.
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Research Products
(2 results)