2007 Fiscal Year Annual Research Report
人間活動に伴う大気汚染と自然の相互作用が大気環境に与えるインパクトの数値的研究
Project/Area Number |
05J10090
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
佐竹 晋輔 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 黄砂 / エアロゾル / 数値モデル / 東アジア / 物質循環 |
Research Abstract |
本年度では、数値モデルによるシミュレーション結果を基に、日本上空に輸送されたエアロゾルの長距離輸送メカニズムとその鉛直分布の実態の解明を行った。数値モデルには、以前から開発・改良を行っている化学物質輸送モデルを用い、モデル結果の検証には地上観測や衛星観測データを利用した。この検証の結果、モデルが観測されたエアロゾル層の鉛直分布や光学的厚さの変動を適切に再現していることを確認し、黄砂粒子が、人為起源エアロゾルと異なり、一年を通じて地上から高度約10kmまでの範囲で日本上空に輸送されていることを明らかにした。また、黄砂粒子の高い高度で輸送されるメカニズムについて解析し、ゴビ砂漠起源の黄砂粒子は、1)発生源付近の乱流混合によって、2)輸送中に低気圧の温暖域内部に侵入し、その上昇気流によって、3)1)と2)の両過程の組み合わせによって、より上空(高度3-8km)に輸送されることがわかった。さらにゴビ砂漠から輸送される空気塊について解析し、タクラマカン砂漠起源の黄砂と同様に、ゴビ砂漠起源の黄砂が高い頻度で高度3km以上の高度で輸送される可能性を指摘した。高い高度で輸送される黄砂層が雲層との相対的な位置関係によって地球大気を暖める正の放射強制力を持つことは先行研究によって示されている。そのため、これらの結果は黄砂の越境大気汚染による日本上空の大気放射場への影響の解明に大きな意義を持つものと考えられる。これらの研究成果の一部は国際測地学・地球物理学連合総会や日本気象学会で発表しており、今後、投稿論文として公表する予定である。
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Research Products
(2 results)