2005 Fiscal Year Annual Research Report
対数的幾何に於けるK群及びモチーフの構成とその代数サイクルへの応用
Project/Area Number |
05J10533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 啓 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 代数的K理論 / 対数的幾何 / 代数サイクル |
Research Abstract |
古典的な代数的K群の対数的幾何学に於ける類似の一つであるKummer etale K群について、そのλ環としての構造を解析した。具体的には以下の通りである。 一般に対数的スキームが与えられたとき、それに伴うKummer etale環付トポスの上のベクトル束のなす完全圏からK群が定義される。これがKummer etale K群であり、古典的な代数的K群の一つの拡張となっている。通常これはAbel群の構造を持つが、0次K群については更に、ベクトル束のテンソル及び外積によって、λ環と呼ばれる代数構造を持つことが知られている。 本年度の研究によって、分離閉体上の非特異且つ対数的非特異な対数的代数多様体に対して、その0次Kummer etale K群のλ環構造を、その対数的多様体に自然に伴うstratificationから得られる古典的K群のλ環構造を用いて、捻れ部分の情報を除いては、記述することが可能になった。 特に、古典的な代数的K群のときと同様の過程により、Adams作用素の固有空間という形で、古典的なChow群の一つの拡張としてKummer etale Chow群と呼ぶべき物を定義し、特別な場合にはその構造の記述を得ることが出来る。 更に、これを用いることで、通常の代数幾何における重要な定理の一つであるRiemann-Rochの定理の対数的幾何学における類似を考察する際に必要な、Kummer etale K群とKummer etale Chow群の間の写像を構成することができる。この写像は、ある種の対数的固有射に対して関手的に振舞うことが期待され、これが対数的Riemann-Rochの定理というべきものであるが、これについては今後の研究課題である。
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