2005 Fiscal Year Annual Research Report
政策評価による意思決定過程への影響、および評価手法の適用に係る考察
Project/Area Number |
05J10848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
益田 直子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政策評価 / 評価の利用 / 評価の影響 |
Research Abstract |
1.評価の利用(影響)に関するシステマティックな分析を行った1970年代以降の論文・著書の文献リスト作成とそのレヴューを行い、1970年代から80年代初期に見られた、メタ分析などのシステマティックな分析が1980年代後半から少なくなり、2000年代に入り、再度その必要性を主張する研究者が現れていることが明らかになった。しかし、2000年代以降の議論では、1980年代初期までの分析の中心であった評価結果の利用という側面ではなく、評価の影響という、より長期的・複合的な概念を利用した分析が必要であると認識されている。 2.その新たな概念枠組みの実証研究の現状と今後の展望を知るため、アメリカ・カナダ合同評価学会において、評価の利用(影響)に関する主要な著書・論文執筆者にインタヴュー調査を行った。また、学会後もメール上で議論を続け、非常に目に見えにくい影響をも含むこの概念における、分析単位の設定の難しさとその挑戦の重要性を知った。 3.こうした文献調査とインタヴュー調査などを通じ、評価の結果のみに注目した従来型の分析ではなく、なぜその利用(影響)が起こったのか、または起こらなかったのかという利用(影響)のコンテクストについての調査を始めている。具体的には、National Science Foundation(米国科学財団)という研究助成を目的とした政府機関において、その助成金が対象とするプログラムの評価は、どのように行われ、それがどのように意思決定に影響を与えているのか、またはいないのか、その理由は何かについて、ペンシルベニア州立大学の研究者と調査を始めている。
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