2005 Fiscal Year Annual Research Report
資源化された宗教と喚起される信心-巡礼産業の民俗学的研究
Project/Area Number |
05J10932
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門田 岳久 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宗教の資源化 / 文化産業 / ツーリズム / 民俗文化の活用 / ナラティブ / 巡礼 / 聖の商品化 / 消費社会 |
Research Abstract |
本研究は近代消費社会における宗教文化の持続と変容について、民俗学的な研究手法に基づくフィールドワークを通して考察するものである。近代化、消費社会化は宗教現象を衰退させるより、むしろメディアや産業、近代医療等を媒介に活発化させつつあることが近年論じられるようになった。本研究では産業と宗教文化との結びつきを焦点化するため、現代日本における巡礼を事例に、ツーリズム産業(旅行会社等)が伝統的な巡礼習俗をいかに資源化し、一般の人々がそこにどう関わっているのか明らかにすることを、研究の骨子としている。 初年度の中心的作業は、いわゆる巡礼ツアーのシステム全体を詳細に調査することであった。北海道・東京・新潟・愛媛の複数の旅行会社への取材、巡礼ツアーへの同行、添乗員・ツアー参加者へのインタビューを通し、以下の情報を重点的に収集した。 (1)ツアー商品の内容:交通システム、料金プラン、人的配備、参加者の傾向など数値データ。 (2)商品開発プロセス:旅行会社は巡礼ツアー商品をなぜ・どのように開発したのか。 (3)ツアー添乗員の民俗知識運用:添乗員は巡礼に関する民俗的・宗教的知識をいかにして学習し、実際のツアーにおいて運用しているか。 (4)旅行会社と外部との協力体制:旅行会社が巡礼ツアー事業において、寺院、地域組織、出版社等と、どのような組織的なコミュニケーションを行っているのか。 これに、前年までに作業を終えていた、マスメディアでの巡礼の宣伝効果の考察を加えることで、現代日本において巡礼習俗が商品として流通し、巡礼参加者(消費者)の手に届くまでのシステムの全貌を把握することができた。成果については日本民俗学会第57回年会での口頭発表、2006年刊行予定の著作(共著)で、漸次公表を行っている。
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Research Products
(2 results)