2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11292
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾上 弘晃 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MEMS / 自己組織化 / 自己組立て / pH / 順序組立て / 自己複製 / 微小力計測 / ピエゾ抵抗カンチレバー |
Research Abstract |
本年度は最初に,マイクロ粒子間の相互作用を選択し,それらがマイクロ粒子間でどのように働くかの理論計算を行い,設計指針を固める作業を行った.自己複製・自己組立てに利用するマイクロ粒子間の相互作用は,疎水性相互作用・電気2重層斥力・ファンデルワールス(VDW)力の3つを選択した.これらの力は水溶液中で固体表面間に働く力であること,また表面上体や溶液のイオン濃度やpHにより制御可能である.2つの表面はAuとSiO2で作製し,Au表面のみメチル末端(-CH3)のSAMで表面修飾してある.すると純水中(pH=6.5)でAu表面は疎水性かつ無帯電に(A表面),SiO2表面は親水性かつ負に帯電(B表面)する.コロイド粒子の振る舞いの記述に利用される相互作用ポテンシャルをマイクロ粒子に適応し計算した結果,純水中でAu表面同士は疎水性相互作用により引き合い結合するのに対し,SiO2表面は表面電荷の反発により結合しないという計算結果を得た.また,この状態から塩酸を加えることでpHを2.0程度まで下げることにより,2段階目の結合が生じることがわかった.これらの計算結果より,マイクロ粒子間の相互作用がpHにより制御できるという見通しを得た. また,上記の理論計算をもとにし,マイクロスケールの部品による自己複製を行うにあたり必要となる,マイクロ粒子間の相互作用の精密な計測法を完成させ,pHによる表面間の相互作用のふるまいに関して知見を得た.2種類の表面A(ODT表面)とB(SiO2表面)について,pH変化に伴うA-A結合面とB-B結合面の結合状態を計測し,自己組立てを行う際の指針とするべく考察を行った.B-B表面間のpH3.0からpH6.5においては,計測値が0であった.また,pH2.0以下では結合力が計測され,結合強度は50pN/mm2から200pN/mm2であった.これに対し,A-A面の結合強度はpHにかかわらず,4*104pN/mm2程度であった.つまり,pHにより,マイクロ表面間の相互作用がコントロールできうることが示された.
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Research Products
(2 results)