2005 Fiscal Year Annual Research Report
高活性多核アート錯体の理論設計と新反応・新現象開発への展開
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05J11373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 信二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 亜鉛 / アート錯体 / アリルシラン / シリル亜鉛化反応 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
1.亜鉛アート錯体を用いる末端アルケンからのアリルシラン合成法の開発 既に開発に成功していた四配位型亜鉛アート錯体を用いる末端アルキンからのシリル亜鉛化反応に対し、基質一般性の拡張を目指して検討を行った。その結果、触媒としてチタノセンジクロリドを用いることで末端アルケンへのシリル化反応が進行することを見出した。本反応は、亜鉛アート錯体の配位環境の中でこれまであまり注目されることのなかったカウンター金属が重要な役割をしていることがわかり、通常用いられるリチウムではなくマグネシウムを選択することで高活性かつ高化学選択的な反応の実現に成功した。この反応は、これまで実用的な合成法の無かったγ-置換アリルシランを、容易に入手可能なアルケンから一段階にて合成できる画期的なものである。 2.計算化学を用いたシリル亜鉛化反応の理論解析 末端アルキンへのシリル亜鉛化反応をモデル反応とし、亜鉛アート錯体の配位数・配位子の種類・カウンター金属などの配位環境と反応活性・反応選択性との関係を密度汎関数法によって調べた。その結果、配位数と反応性との間に明確な相関があることを見出し、高配位数になるにつれて反応性が上昇するという実験結果を再現することに成功した。また、反応選択性は電子的要因・軌道的要因・立体的要因の複合的な要素の組み合わせによって速度論的に決定することを明らかにした。また、酸化還元反応で進行するとされる銅アート錯体の反応とは異なり、亜鉛アート錯体はσ-結合メタセシスによる一段階協奏反応であることを明らかにすることに成功した。
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Research Products
(2 results)