2005 Fiscal Year Annual Research Report
核内レセプターを用いた新規染色体構造変換制御因子の機能解析
Project/Area Number |
05J11500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 紗弥 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 核内レセプター / 遺伝子発現制御 / 転写共役因子 / 染色体構造変換 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
遺伝子発現制御を担う転写段階は、染色体構造変換制御因子を含む転写共役因子複合体群による制御を介した染色体構造変換を伴い進行する。本研究の目的は、遺伝子発機構を理解する上で染色体構造変換に着目し、転写段階における染色体構造変換因子の機能解析を成し遂げることである。これまで、転写開始及び転写終結がヒストン修飾及びクロマチンリモデリング因子群による染色体構造変換を介して制御される機構が明らかにされつつある。生体内での組織特異的な遺伝子発現はこれら複合体群による染色体構造変換能により規定されると考えられ、複合体の特異性を決定する更なる染色体構造変換複合体構成因子の解析は必須であると考えられる。申請者はこれまでショウジョウバエ個体において核内レセプターの転写活性を指標とした分子遺伝学的スクリーニングを行い、染色体構造変換を担う新規因子の単離・同定を行った。その結果、転写活性を抑制し副腎特異的に発現する未知因子の単離に成功した。そこで本研究は、同定した新規因子の機能解析を試みることとした。 本研究のこれまでの成果として、同定した新規因子を介した転写抑制機構を明確にしたことが挙げられる。新規因子は細胞核内において転写抑制化の指標となる9番目のリジン残基がメチル化されたヒストンH3と局在を共にすることから、ヒストン修飾を介した転写抑制化機構が示唆された。また、培養細胞を用いて、この新規因子がヒストンH3の9番目のリジン残基を特異的にメチル化する酵素であるSuv39H1やヘテロクロマチン化誘導因子HP1と会合することを見出した。さらに、in vitro系によりこれら因子を含む複合体がクロマチン構造変換能を有することを示した。以上のことから、この新規因子が染色体構造変換を伴い転写抑制を担う新しいタイプの転写共役因子であることが示唆された 現在、この新規因子を含む複合体の活性本体を同定するため培養細胞からのタンパク複合体精製を行っている。さらに、個体レベルでの生理機能を解明するため、新規因子のノックアウトマウスの作成を試みている。
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