2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鬼塚 年弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トコブシ / 繁殖生態 / 初期生態 |
Research Abstract |
相模湾長井の沿岸に設定したStn.1と2において、トコブシ着底初期稚貝、初期稚貝、稚貝を継続的に採集し、発生したコホート毎に着底密度、生残率、成長速度を求めた。また、両調査点において砂泥の流入・堆積量、流速、転石の移動距離と転石表面の磨耗の程度を継続的し、浮遊幼生の着底・変態および着底後の成長・生残に影響を及ぼす要因を抽出した。 転石上の堆積砂泥量が多かったStn.2では堆積砂泥量が少なかったStn.1に比べて幼生の着底密度が低かった。そこで砂泥に代わる2種類の物質(カオリンとアサリ貝殻パウダー)を用いた室内実験を行い、これらの堆積量が浮遊幼生の着底・変態に与える影響を検討した。浮遊幼生は堆積物のない無節サンゴモ上に高率で着底・変態したが、堆積物が存在する場合にはその量が多いほど着底・変態率が有意に低下した。また、その影響は貝殻パウダーよりも粘性の高いカオリンで大きかった。着底基質となるサンゴモ上に堆積する砂泥の量や質は浮遊幼生の着底・変態に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。 着底後の初期稚貝の生残率は、最大流速の大きかったStn.1でStn.2よりも低かった。Stn.1では転石の移動距離がStn.2に比べて長く、転石表面が激しく磨耗していたことから、初期稚貝が流れにより剥離されたり、転石の横転により死亡する割合が高かったと考えられる。 着底後1ヶ月間の平均成長速度には、産卵期前半に着底したコホートほど速い傾向が認められた。各コホートが経験した水温履歴を比較した結果、高い水温を経験したコホートほど成長速度が速かったことがわかり、着底後の成長速度は主に水温により規定されると考えられた。
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