2005 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡散逸系としての粉体系における自己組織化の研究
Project/Area Number |
05J11808
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辰己 創一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 粉体 / 実験 / 動力学 / 非平衡散逸系 |
Research Abstract |
本研究の主眼は、粉体を支配する動力学、静力学について理解する事にある。そのような観点から、本年度においては特に動力学、特に粉体ガス系に着目した研究を行った。粉体ガス系の研究は、雪崩や土石流に代表されるような流動化した粉体の挙動を理解する観点からも、非常に重要である。 さて、粉体ガス系について、仮にマクロな状態変数を定義し、その間に何らかの関係式を見出すことが出来るのかどうか、これが非常に重要な点である。もしそのようなことが可能ならば、気体分子運動論とのアナロジーから、速度分布関数に何らかの法則性が見出されることが期待される。しかし、今までに行われてきた粉体ガス系についての先行研究においては、その速度分布関数について、統一した知見が得られているとは言い難い状況にあった。その最たる理由は、実験、もしくは数値実験の状況によって、違う速度分布関数、大きく分けて二つのタイプのものが得られている点、そして、それらの統一的な解釈がなされていない点にある。 本研究では、直径80mm、深さ2.5mmの擬2次元セルに直径1mmのジルコニアビーズ2000個を入れ、周期的に鉛直加振することによって、擬2次元粉体ガス状態を実現した。その際、容器を真空条件下におくことによって流体相互作用を排除している。 その結果、今までの先行研究で見られていた二つの特徴的な速度分布関数が、外部加振において加える速度で特徴付けられること。そして、速度分布関数と平均自乗速度の間に密接な関係があることを明らかに出来た。この事は、粉体ガス系の理解を深める非常に重要な結果である。このような違いは、両者において支配的な散逸のメカニズムに依存すると思われるが、まだ明確ではない。現在は、確かめられた関係に何らかの基礎付けを与えるべく、実験、理論両面から模索中である。
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Research Products
(1 results)