2006 Fiscal Year Annual Research Report
組み換え体とFRET法を用いた、ダイニンすべり運動を引き起こす構造変化の検出
Project/Area Number |
05J12089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
最上 聡文 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダイニン / FRET / ATPase / AAA / キネティクス / モーター / 細胞性粘菌 |
Research Abstract |
1.ダイニンのATP加水分解反応の中間状態と構造変化の共役を検出する蛍光プローブとして、蛍光色素FlAsHを導入した。蛍光色素FlAsHが特異的に結合する-Cys-Cys-Gly-Pro-Cys-Cys-(テトラシステイン配列)をダイニンのAAAリング内に挿入した組み換えダイニンを作製し、その微小管すべり運動活性測定の条件を検討および決定し、FlAsHを結合した状態でのダイニン微小管すべり運動活性を確認することに成功した。次に、ダイニンのAAAリング内に4箇所あるATP結合・加水分解部位のうちの任意箇所についてATPまたはADPの結合および解離を検出する目的で、蛍光ATPアナログであるMant-ATP/ADPとFlAsH間で起こるFRETを検出することをストップトフローを用いて試みている。 2.ダイニンの構造変化を捉えるプローブとしてGFP/BFPによるFRETを用いる方法を以前開発したが、それを用いてダイニン構造変化の速度論的解析を行った結果、細胞質ダイニンの微小管によって活性化されるのは、AAA1モジュール内に存在する主要なATP加水分解部位のみならず、AAA3やAAA4モジュールにあるATP加水分解部位も含まれるらしいことが分かった。この研究内容は現在論文投稿中である。 3.ダイニンの4箇所あるATP/ADP結合部位の中にはADPを特異的に結合する部位があり、ADP結合によってダイニンの活性が制御を受けることが以前より報告されていたが、細胞性粘菌由来の細胞質ダイニンにおいても、ADP濃度によってその活性が制御されることを見出した。そして、ADPの結合親和性がATPと比べて高い部位が実際に存在することを確認した。ADPの結合親和性を変化させるような変異を開発し、その変異を導入した組み換えダイニンを作製し、変異がおよぼす効果を解析している。
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