2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶学的アプローチによる新しい再生骨評価法の確立と配向化メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J50662
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石本 卓也 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 再生医工学 / 骨再生 / 生体アパタイト(BAp) / 微小領域X線回折法 / c軸配向性 / 骨質 |
Research Abstract |
本研究では、成熟家兎尺骨に導入した、自然治癒困難な巨大欠損部(20mm長)に対して、細胞増殖因子の1つである骨形成タンパク(rBMP2、以下BMP)を、ゼラチンハイドロゲルをキャリアとして徐放し、早期再生を図った場合の再生過程の解析を行った。評価項目としては、骨評価指標として従来用いられてきた骨体積・骨密度に加え、骨に対する結晶学的アプローチとして、骨質パラメータとして重要な骨中生体アパタイト(BAp)のc軸配向性を解析した。c軸配向性は、六方晶BApの結晶学的異方性から、骨の力学機能を強く反映することが期待される。 BMPは、幹細胞からの骨芽細胞への分化、骨芽細胞の増殖・活性化を促進するとこで高い骨形成能を発揮する。欠損部に徐放した場合、欠損部は早期にて新生骨で充填され、見かけ上骨修復された。この際の骨量増加は、ハイドロゲルからのBMP徐放より2〜3週間のタイムラグを経て最大値を迎えた。これは、幹細胞からの骨芽細胞への分化、その後の活性化・石灰化に要する期間とよく一致した。一方、再生骨の骨密度ならびにBAp配向性は、自然治癒の場合と同様の回復過程を示した(申請書参照)。つまり、配向性の回復は骨密度の回復に遅れて進行した。このことから、配向化は、欠損部充填と再生部の骨密度上昇にともなう応力負荷を起点として起こるものと考えられ、実際に、骨密度値より推定した負荷応力値と配向性とは強い相関関係を示した。 以上のことから、本研究では、BMP徐放の効果は配向性の回復には直接的には寄与しなかったが、応力負荷の促進を介して間接的にBAp配向化につながったと理解された。この結果をもとに、細胞増殖因子の種類やその徐放条件を最適化することで、再生骨形成、高密度化を促進し、より早期の配向性の回復、力学機能の回復を図ることが可能であるものと期待される。
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Research Products
(7 results)