2005 Fiscal Year Annual Research Report
非人間的ラベリングが対象差別を促進するメカニズムの検討
Project/Area Number |
05J52122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 達 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非人間的ラベリング / 差別 |
Research Abstract |
本年度は、非人間的ラベリングが対象の否定的評価を引き起こす認知的メカニズムを規定する要因の一つ、対象を評価する上での不確定さが、迫害行動に及ぼす効果を検討する実験室実験を行った。対象評価における不確定さには(1)対象の一つの行動が、一つあるいは複数の性格特性を示唆するともしないとも言えるような場合、あるいは、(2)ある性格特性を示唆する行動情報と、それとは評価的に正反対の性格特性を示唆する行動情報とが複数与えられたために、対象に評価的に不一致な複数の特性が示唆される場合の二種類がある。これらの情報は、非人間的ラベリングが知覚者に活性化した性格特性概念あるいは対象期待などの知識のために偏った処理が行われ、対象判断バイアスが引き起こされるものと考えられる。本研究では、対象評価における不確定さを対象の行動情報として参加者にコンピュータで提示し、その後の参加者の対象評価と、対戦型格闘TVゲームを用いた対象との相互作用における迫害行動を測定した。実験結果では参加者の対象評価と迫害行動には非人間的ラベリングの影響が見られなかったことから、非人間的ラベリングはバイアスを修正させる心的メカニズムを作動させること、そしてこのようなラベルが対象判断を歪めて迫害を促進する際には、その修正過程を阻害する動機付けが作用している可能性が示された。 この研究の一部は東北心理学会第59回大会(いわき明星大学)、第14回CSSIワークショップ(東北大学)、および、Fostering a New Generation of Psychologists for the 21^<st> Century(Soka University of America)で発表された。
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