2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における社会・経済的地位による健康の不平等と社会保障サービスの公平性
Project/Area Number |
05J53082
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 加代子 慶應義塾大学, 商学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高齢者 / 健康 / 社会経済的地位 |
Research Abstract |
(1)イギリスのパネルデータBritish Household Panel Surveyを用い、高齢者の社会経済的地位と彼らの健康状態との関係を分析した。従来の研究が横断面分析にとどまっていたのに対し、本研究では個人の数年間の健康状態の変化を追うことにより、社会経済的地位と健康状態との間の因果関係に意識した分析を行った。分析の結果、数年間の健康状態の変化と、高齢期における社会経済的地位との間には有意な関係が見られず、従来の横断面分析のみでは現実を十分に捉えられていないことが分かった。大学内で数回研究報告をした以外にも、10月に行われた第111回社会政策学会にて研究報告を行った。報告の際に頂いたコメントを参考に分析に改良を加え、『三田商学研究』に発表するに至った。 (2)慶應義塾大学経商連携21世紀COEで収集しているパネルデータ『慶應義塾家計パネル調査』を利用して、健康に負の影響を与える喫煙行動について、たばこ価格との関係を分析した。データの特性を活かし、喫煙習慣についての回顧調査から擬似パネルデータを作成し、サバイバル分析を行った。分析の結果、たばこ価格の上昇は喫煙者の禁煙行動を促すことが分かった。また、学歴や所得が低いほど喫煙傾向が強いといったように、喫煙習慣が社会経済的地位と有意な関係にあることも分かった。日本では、喫煙習慣に関する十分なデータがなかったことから、今までこのような分析はほとんど行われていない。大学内で数回研究報告を行い、分析に改良を加えていった。同プログラムで毎年出版している『日本の家計行動のダイナミズムII』に掲載される予定である。
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Research Products
(1 results)