1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06630038
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
太田 和博 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (90223825)
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Keywords | インターネット / ネットワーク / コンピュータ / インフラストラクチャ / 情報通信 / 料金体系 / 公益事業 / 費用負担 |
Research Abstract |
本年度の研究による成果は、インターネットの料金体系(費用負担)の実態調査と理論的分析からなる。 インターネットの料金体系と費用負担(実態調査) 1 インターネットの利用者は学術研究者と一般利用者に分けられ、各々は直接的な利用料金を負担するとともに基幹回線(国際回線等)の費用を直接的あるいは関接的に負担している。学術研究者の場合には、基本的には所属研究機関が利用料金を負担しており、基幹回線は各種の研究資金や協力金などによって維持されている。したがって、市場による料金決定や料金規制の問題は存在せず、予算配分などの政治的決定に依存する。 一般利用者に関する料金および負担の形態はひとつの方向に収斂しつつある。基幹回線を保持しない二次プロバイダーから基幹回線を保持する一次プロバイダーへの接続料金は従量制になっている。一方、個々の利用者が支払う料金は、従量制から二部料金制、さらには定額料金制と移行しつつある。これはプロバイダー間の競争の帰結であることが明らかになった。 2 公益事業料金論からの分析と政策論的含意 基幹回線は通常の公益事業における固定設備に当たり、その費用負担は公益事業料金論の主要課題である。本年度の研究では、伝統的なアプローチだけではなく、競争下の設備投資との関連において二部料金および定額料金制の含意を分析した。世界規模のインターネットの基幹網は政府が投資コントロールを行うことなく整備された唯一の社会的インフラストラクチャである。政策論的含意として、適切で迅速な情報通信分野における規制緩和が効率的な回線設備の拡張と利用料金体系の実現のために必要であることが導出された。
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