1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671729
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
朝倉 光司 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50136925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 慎一郎 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30264526)
大黒 慎二 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40253992)
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Keywords | NALT / アデノイド / 口蓋扁桃 / 抗体産生細胞 |
Research Abstract |
上気道粘膜免疫においてはアデノイドや口蓋扁桃がGALTやBALTに相当するリンパ組織である可能性は古くより推察されている。また最近、マウスやラットの鼻咽腔の側壁に存在するリンパ球の集俗(Nose associatted lymphoid tissue,NALT)がヒトにおけるアデノイドや口蓋扁桃に相当するものとして注目されている。そこで我々は、ラットのNALTリンパ組織およびアデノイド、口蓋扁桃における免疫応答を検討した。 1.抗原感作ラットにおいて抗原点鼻後のNALTの動向を検討した結果、その容積の増大とその中の抗原特異的イムノグロブリン産生細胞の増加を認めた。これらの反応は脾臓では認められなかったことから、上気道の抗原刺激に際しては特にNALTが強く応答することが推察された。しかし、予想に反してNALT中では抗原特異的IgG産生細胞の増加に比して、抗原特異的IgA産生細胞の増加が少なかった。 2.ラットNALTリンパ球をLPSとConA存在下で6日間培養すると、非特異的IgAおよびIgM産生細胞のinductionが認められた。 3.ヒトのアデノイドおよび口蓋扁桃のリンパ球をLPSやConA存在下で6日間培養すると、非特異的IgG産生細胞と比較して非特異的IgA産生細胞の著明なinductionが認められた。 以上より粘膜防御の主役であるIgA産生に関しては、ラットのNALTやヒトのアデノイドや口蓋扁桃はeffector siteというよりも、パイエル板と同様にIgAのinductive siteとして働いている可能性が考えられた。すなわち、抗原感作によってNALT内に特異的IgA産生前駆B細胞が形成され、それが体循環を通ってeffector siteである上気道粘膜に選択的に分布して、形質細胞化して特異的IgA産生を行うというプロセスが考えられた。現在、NALTやアデノイドおよび口蓋扁桃のリンパ球からB細胞を分離して、IgA産生細胞へのinductionに関与する因子(T細胞、サイトカイン)の解析を行っている。
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