2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物3量体Gタンパク質αサブユニットが制御する細胞内情報伝達経路の解明
Project/Area Number |
06J02073
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
隠岐 勝幸 福井県立大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Gタンパク質 / 細胞内情報伝達 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
イネ3量体Gタンパク質αサブユニット(RGA1)の関与が報告されているジベレリン(GA)応答について、新規な知見を得た。GA情報伝達経路の分子スイッチとして機能するDELLAタンパク質、Slender rice 1 (SLR1)に着目した解析で、RGA1欠失変異体d1と、その親品種間の比較において、夜間高温条件下にあるイネでは、抗SLR1抗体に反応する約75kDaの泳動度を示すタンパク質が、親品種特異的に蓄積することを見出した。同タンパク質の蓄積はGA処理で減少し、同抗体で約70kDaに認識されるSLR1と類似の応答性を示すことから、何らかの翻訳後修飾を受けたSLR1と予想した。SLR1はN末端側のpolyS/T/V領域等でリン酸化を受けるが、約75kDaのバンドサイズは、リン酸化SLR1と異なっていた。一方、SLR1はSPINDLYの基質として、O-GlcNAc修飾を受けるとされている。そこで、抗O-GlcNAc抗体を用いたイムノブロットを行ったところ、抗SLR1抗体で認識された、約75kDaのタンパク質と類似の挙動を示す、親品種特異的なバンドを検出した。 つまり、これまでに同定されていない、O-GlcNAc修飾化SLR1と予想されるタンパク質の蓄積を確認し、同タンパク質の蓄積には、イネ3量体Gタンパク質情報伝達経路が関与する可能性を示した。 なお、RGA1のエフェクター候補であるPhopholipase Cb (PLCb)に関して、RGA1とのin vitroの相互作用を確認したが、in vivoにおける相互作用は確認できなかった。また、RGA1存在下のPLCb酵素活性測定の結果、PLCbの顕著な活性化・抑制は見られなかった。加えて、PLCb過剰発現形質転換体は、特徴的な表現型を示さなかった。よって、PLCbとRGA1の機能的関連を検証することは困難であると判断した。
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