2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブータンの自然国立公園における「環境保全」をめぐる文化と政治に関する人類学的研究
Project/Area Number |
06J02460
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 万里 Kyoto University, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ブータン / 南アジア / 地域研究 / 政治人類学 / 環境保全 / 自然国立公園 / ネイション形成 |
Research Abstract |
2007年度は、京都大学人文科学研究所において、文献資料研究および対象フィールドで収集したインタビューのデータの分析を中心に研究を行った。また同時に、2008年3月にはブータンに渡航し、約3週間にわたり、ブータン国内の対象村落での環境保護プログラムの進捗状況を確認すると同時に関係者への聞き取り調査を行った。今回はブータン初の国政選挙期間中に滞在期間を合わせており、国内の政府官僚や立候補者へのインタビューも行った。これらの調査データは、民主化によって今後大きく転換を迎えるであろうブータン社会の開発政策、それと表裏をなす環境政策の変遷を考察するに際して貴重なものとなるだろう。 研究発表に関しては、10月6日・7日に大阪市立大学において開催された「日本南アジア学会第20回全国大会」において、「ブータンの自然国立公園における環境保護政策と地域社会:『環境にやさしい』生活様式をめぐる文化の政治」という発表題目で口頭発表を行った。この発表では環境政策の分析だけではなく、実際の村落調査を踏まえて得られた具体的な事例をもとに環境保護政策と人々の日常的慣習と仏教信仰の連関を描くことを試みた。また、10月27日にはアウトリーチ活動の一環として、第3回パナソニック・アジアスカラシップ・フォーラム(後援:.外務省)にて、企業人および一般向けにブータンの環境保護政策と村落住民の日常的慣習の相互の相互の関連について口頭で発表を行い、参加者にブータン社会に対する理解を促すと共に、グローバルな環境政策が途上国の社会もたらす影響について共に考察する機会を得た。また、この成果は松下国際財団より冊子として刊行された。現在の研究状況としては、通常の研究と同時に、日本南アジア学会より依頼された論文の執筆および、田中雅一・田辺明生編『南アジア社会を学ぶ人のために』にコラムを執筆中であり、近く発表・出版の予定である。
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Research Products
(1 results)