2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯マメ科早生樹造林地における窒素収支の非同時性とその物質循環への影響の解明
Project/Area Number |
06J02858
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 真由美 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Acacia mangium / plantation forest / 窒素 / 物質循環 |
Research Abstract |
マメ科早生樹造林地土壌における植栽木による吸収と有機物の分解による供給のバランスが崩れることによって発生する余剰硝酸態窒素の土壌の物質プール変動へ及ぼす影響を明らかにするために、1)土壌への堆積有機物分解に伴う物質還元動態の解明、2)水の移動に伴う土壌内の物質移動の解明、3)窒素の形態変化の解明を軸にして調査・実験を行った。 非伐採区における各調査実験進展状況 1)に関して、リタートラップによる新鮮リターの採取およびリターバック法による新鮮リターの分解試験の結果から、植栽木であるアカシア由来の物質投入の季節性、リターの分解特性と分解に伴う養分開放特性が明らかとなった。調査対象であるアカシア造林地ではアカシアの結実周期に連動し、少雨期から多雨期にかけてリター投入量および養分塩基投入量が増加する季節変動を持つことが明らかとなった。また、養分塩基カチオンの中でも特に明瞭な季節変動を示したKは、リターの分解試験からは落葉では脱落直後における溶脱によって林地に還元され、鞘では分解に伴って徐々に開放されてゆくことが明らかとなった。 2)に関して、パンライシメーター法によるAo層通過水採取の結果から、アカシア林におけるAo層通過水フラックスは明瞭な季節変動を持ち、林内雨と強い関係が認められた。林地への実質的な養分塩基カチオン還元はアカシア林におけるリター投入量の季節変動と密接な関係を持つことが明らかとなった。 3)に関して、クロロホルムくん蒸抽出法を用い、伐採試験直前における微生物バイオマス窒素の測定を終え、分析準備段階にある。 伐採区における各調査実験進展状況 伐採イベントによる林地への非定常的な元素運元量を明らかにする目的に対して伐採査対象地において非機械伐による全木伐採試験の実施を行った。 1)に関して、伐採に伴い投入される大型植物遺体等の収穫残渣量の測定とその分解速度実験を開始した。 2)に関して、Ao層通過水フラックスおよび土壌内物質移動フラックスのサンプリングを継続して行っている。 3)に関しては、微生物バイオマス窒素の変動を伐採直後から開始し、定期的にその変化を追跡している。
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