2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能スペクトロメーターを用いたペンタクォークの探索と量子数の決定
Project/Area Number |
06J03217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大樂 誠司 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペンタクォーク / エキゾチック / ハドロン物理学 |
Research Abstract |
2005年度に高エネルギー加速器研究機構(KEK)にて行われたペンタクォークΘ+探索実験の解析を行い、生成微分断面積の上限値を求めた。ペンタクォークΘ+は、5個のクォークからなるエキゾチックバリォンである。SPring-8での実験で最初の発見報告がなされて以来、多くの実験がなされてきたが、Θ+が存在すると報告した実験もあれば、存在しないと報告した実験もあり、その存在の有無はいまだに決定されていない。また、過去の実験データの再解析から、もしΘ+が存在するならば、その幅はかなり狭いということが示唆されている。Θ+の構造に関しては、様々な研究があるものの、わかっていない。このように、Θ+に関しては、1.存在の有無、もし存在するならば、2.幅の狭さの理由、3.構造、がわかっていない。本実験は、K+ビームを液体水素標的に照射し、終状態のπ+を高分解能スペクトロメータSKSを用いて捉えることで、これまでの実験よりも高い精度で、Θ+の存在の有無の決定に迫ることが目的である。Θ+の質量に対しての分解能は、期待値2.4MeVとを得ることができた。また、本実験では、K+ビームの崩壊によるバックグラウンドイベントが支配的であり、このイベントを減らすことが必須である。この問題は、標的直後に新たに設置した大立体角チエンバーの情報を解析し、得られた荷電粒子の数と散乱角の大きさを用いることで、解決することができた。解析の結果、K+p→π+Θ+反応におけるΘ+の生成微分断面積は、90% Confidence Levelで1.9μb/strの上限値をもつことがわかった。この結果を、2006年度の物理学会秋期大会と、国際会議HYP2006において発表した。
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