2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス応答における転写因子Nrf1とNrf2の機能的協調と差異の解析
Project/Area Number |
06J03992
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大辻 摩希子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化ストレス / Nrf1 / Nrf2 / ARE / EpRE / Cre-loxP / 条件付きノックアウトマウス / 非アルコール性脂肪肝炎 |
Research Abstract |
生物は、生体異物・酸化ストレスに対し、転写因子Nrf2と小Maf群因子のヘテロ2量体により、抗酸化剤応答配列(ARE)を介して生体防御遺伝子を活性化することで恒常性を維持している。同ファミリーに属するNrf1はNrf2と分子的に相同性が高く、ともに全身性の発現を示すことから、同様の機能を有することが予想された。しかし、両因子のノックアウトマウスの表現系は大きく異なるため、異なる機能を有することも考えられた。これまでに、酸化ストレス応答におけるNrf2の重要性は証明されてきたが、Nrf1の関与は未だ詳細に解析されていない。本研究では、Cre-loxPシステムを用いた条件付きNrf1ノックアウトマウスを作成し、Nrf1ノックアウトマウスの胎生致死を回避して成獣でのNrf1とNrf2の生理機能の協調と差異を明らかにすることを目的とした。まず始めに、異物代謝組織である肝臓特異的にNrf1をノックアウトしたNrfl cK0マウスの樹立に成功した。このNrfl cK0マウスは、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)の症状を呈していた。これはNrf2ノックアウトマウスでは観察されない表現系である。さらに、同マウスの肝臓を用いてRT-PCR解析を行ったところ、Nrf2の標的遺伝子群の発現に上昇が見られた。よって、Nrf1はNrf2と同様の標的遺伝子発現に関して活性化に働いていないことが示唆された。さらに、Nrf1の標的遺伝子群を探す目的で、マイクロアレイ解析を実施したところ、Nrfl cK0マウスで発現変動した遺伝子の中で、遺伝子発現制御領域にARE配列をもつものとして、metallothionein-1を同定した。また、このAREに関してNrf1、 Nrf2の結合活性および遺伝子転写活性化について測定したところ、Nrf1の結合と遺伝子転写活性化が見られた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Loss of Keapl function activates Nrf2 and provides advantages for lung cancer cell growth.2008
Author(s)
Ohta T, Iijima K, Miyamoto M, Nakahara I, Tanaka H, Ohtsuji M, Suzuki T, Kobayashi A, Yokota J, Sakiyama T, Shibata T, Yamamoto M, Hirohashi S.
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Journal Title
Cancer Research 68・5
Pages: 1303-9
Peer Reviewed
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