2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズシスト線虫孵化促進物質グリシノエクレピンAの不斉全合成研究
Project/Area Number |
06J04421
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
椎名 康裕 北海道大学, 大学院理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グリシノエクレピンA / 架橋構造 / 橋頭位アニオン / ジメチルヒドラゾン / A環クプラート |
Research Abstract |
効率的で直接的なグリシノエクレピンAの不斉全合成を達成するために、新たにエーテル架橋構造を有するA環部の連結法を開発することとした。具体的には、橋頭位にアニオン種を発生させてCD環部とカップリングすることとした。しかし、A環ケトンは架橋構造を有しており、通常のエノラートを発生させることは不可能である。実際A環ケトンにLDAを作用させると主に二量化が進行し、橋頭位アニオンを安定に発生させることは困難であった。そこで、対応するジメチルヒドラゾンへ導いた後に、BuLiを作用させてリチオ化したところ、二量化は起こらないことを見出した。このものをアリルブロミドと反応させたところ、目的のアリル化体は得られたものの、その収率は極めて低いものであった。一方、リチウム塩をクプラートへ交換した後にアリルブロミドと反応させたところ、定量的にアリル化体を与えることがわかった。次に、実際の基質であるCD環セグメントのアリルトシラートにA環クプラートを作用させたところ、収率良くカップリング体が得られた。このように、グリシノエクレピンAの不斉全合成における最重要課題であるA環連結は、橋頭位アニオンを利用する新たな方法により解決した。さらに、得られた付加体から数工程を経てグリシノエクレピンAの不斉全合成を達成した。現在、合成スキームの改良を検討中であり、より効率的な全合成を完成させる予定である。 さらに、新たに開発した橋頭位アニオンを鍵として、ソラノエクレピンAの不斉全合成研究を開始する予定である。
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