2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様性指向型有機合成による生理活性天然有機化合物およびその類縁体の合成研究
Project/Area Number |
06J05326
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生駒 実 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多様性指向型有機合成 / 天然有機化合物 / 生物活性小分子 / グルタミン酸 / ダイシハーベイン / タンデムUgi / Diels-Alder反応 / マウス脳質内投与試験 / 自発行動抑制活性 |
Research Abstract |
本研究では、多様性指向型有機合成による天然有機化合物をモチーフとした生物活性小分子の探索を目的としている。本年度は主として、グルタミン酸受容体リガンドであるダイシハーベインを構造モチーフとしたグルタミン酸構造含有化合物群の多様合成および、合成方法論の確立を行なうことができた。 具体的には、タンデムUgi/Diels-Alder反応により一段階で合成可能な化合物を出発原料として、アルケニルエーテル化もしくはアルケニルアミノ化、続いてメタセシス反応を行なうことにより、三段階という短段階で鍵となる化合物へ誘導する方法論の最適化を確立した。その後、種々の官能基変換を経ることにより興奮性アミノ酸ダイシハーベイン類の構造的特徴である、シス縮環二環性エーテルもしくはそれに準ずる構造を含む12個の化合物群を合成した。今回開発した方法論では、一段階目のタンデムUgi/Diels-Alder反応の段階で目的とする最小構造単位であるグルタミン酸に相当する官能基を全て揃えることができており、後の反応を改変することによって更なる骨格多様なグルタミン酸構造含有化合物群の開発を可能とした。 また合成した化合物群の生物活性を、マウス脳室内投与試験を行なうことにより測定した。その結果、合成した12個の化合物群の内、マウスに対する活性として、顕著な行動抑制を誘発する3つの化合物を発見した。今回これらの化合物が有する活性の概要としては、マウス脳質内投与後、50分間完全にマウスの自発行動を抑制し完全回復に四時間を要するということがわかった。
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