2006 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類とヒトにおける視覚認知機能の進化における収斂、放散とそれに伴う種差の理解
Project/Area Number |
06J05950
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 和宏 慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 比較認知 / 視覚探索 / 鳥類 / 霊長類 |
Research Abstract |
本年度の計画は、鳥類の研究装置(オペラント箱)の作成およびパターン優位効果の検証であった。オペラント箱は従来、渡辺研究室で使用されてきたものと異なり、タッチスクリーンを入力デバイスとして用いるものを作成したことで、より柔軟な実験デザインを組むことが可能なものをハト、カラス用にひとつずつ作成した。また、研究室のネットワーク環境の構築、整備を行った。予備訓練用のプログラム、実験プログラムはそれぞれVisual Baisic6により開発を行い、装置とプログラムの作成、検証に6ヶ月ほどを費やした。これらの装置を用いてハト、カラスでの予備訓練を開始したものの、何羽かの訓練がうまくいっておらず、本実験への移行は平成19年度への課題となった。 このパターン優位効果に関する実験は鳥類と霊長類の比較を目的としているために、平成18年4月から京都大学霊長類研究所での共同利用研究制度を利用してチンパンジーでの実験を行い、慶應義塾大学においてもヒトの対比実験を行った。当初、チンパンジーの長年にわたる実験履歴の問題などがあり訓練に時間がかかったが、手続きの改良などを経てチンパンジーの正答率を向上させることに成功した。ヒトの実験手続きはチンパンジーのそれに合わせた。課題は画面上に提示される4つの図形のうち1つのみが他と異なり、それを選択すれば正解である。図形としては/(鏡映像と対)を用意した。この図形に共通の文脈を付加すると(たとえばLの字型を/に付加する)、チンパンジー、ヒトともに弁別が容易になり(創発的特徴のポップアウト)、別の文脈の付加を付加すると(たとえばコの字型を/に付加する)とヒトでは弁別が困難になるがチンパンジーでは弁別が容易になるという結果が得られた。今後、チンパンジーとヒトの種差の要因を精査し、ハト、カラスとを加えることで、パターン優位効果を霊長類と鳥類の比較検討を行う。
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Research Products
(2 results)