2007 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類とヒトにおける視覚認知機能の進化における収斂、放散とそれに伴う種差の理解
Project/Area Number |
06J05950
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 和宏 Keio University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 比較認知 / 視覚 / 全体、局所処理 / 鳥類 / 霊長類 |
Research Abstract |
視覚の比較研究において、大域優先処理がヒトの特異性として考えられている。本年度の研究目的は、ハト、カラスなどの鳥類とチンパンジー、ヒトなどの霊長類で比較し、大域優先処理がヒト特異的なものなのか、霊長類と鳥類で異なるものなのかを検証することであった。ヒトの視覚探索課題で右上がりの斜め線の中から左下がりの斜め線を探すのは比較的難しい。しかし、この斜め線に「L」字の文脈を追加すると、文脈字自体には何の意味もないにもかかわらず斜め線の弁別は容易になることが知られている(これをパターン優位効果という)。本年度の研究では、ヒトとチンパンジーに加えてハトとカラスでパターン優位効果を検証した。被験体はコンピューター画面に呈示される4つの刺激のうち、他の3つとは異なるものを選ぶことを訓練された。実験の結果、ヒトとチンパンジーでは斜め線分だけの時よりも文脈が付加されたときにターゲットの検出が早くなったが、ハトとカラスでは文脈付加されることによってターゲットの検出が遅くなった。この結果は、鳥類と霊長類で視覚の全体処理の仕方が異なることを示唆している。また、その後の実験でパターン優位効果は刺激の大きさや刺激間間隔に影響されないことが確認された。さらに、斜め線分に「L」字の文脈を付加する刺激以外に4つの新しい刺激セットを用いて、パターン優位効果が特定の刺激に限定されるものでないことが確認された。
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Research Products
(5 results)