2006 Fiscal Year Annual Research Report
GABA合成酵素欠損マウスを用いた全身麻酔薬作用の電気生理学的・行動学的解析
Project/Area Number |
06J07866
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久保 和宏 群馬大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GABA / プロポフォール / ケタミン / ノックアウトマウス / グルタミン酸デカルボキシラーゼ |
Research Abstract |
<目的>麻酔薬の中枢抑制にはGABA受容体が重要であるが、神経終末からのGABA放出過程の麻酔における役割については議論が多い。研究目的は、抑制性神経回路における重要な伝達物質の一つであるGABAの合成酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ(glutamate decarboxylase : GAD)の発現を抑えたGAD65ノックアウトマウスを用いて、麻酔薬の中枢神経作用における神経終末からのGABAの放出の役割を解明することである。 <方法>行動実験:野生型(WT)とGABA65ノックアウトマウスにおいて、吸入麻酔薬(セボフルラン)、静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン)の腹腔内投与後、麻酔に至るまでの時間、麻酔持続時間、回復時間を立ち直り反射の消失(Loss of righting reflex)で評価・スコア化して比較した。電気生理実験:脳海馬スライス標本を用いて、CA3-CA1シナプスでの興奮性シナプス後電位(field EPSP)、集合電位(population spike : PS)、長期増強現象(long-term potentiation : LTP)、抑制シナプス電流(IPSC)を記録し、麻酔薬の存在下でどのような影響があるかを検討した。 <結果>GAD65(-/-)においてプロポフォール腹腔内投与(100mg/kg)後の麻酔持続時間に有意な短縮が観察されたが(WT22:1460s KO16:910s)、ケタミンでは差がなかった(WT15:1639s KO10:1664s)。GAD65(-/-)マウスでは、興奮性シナプス伝達や抑制シナプス伝達ともWTと差はないが、プロポフォールによる抑制の程度に有意差がみられた。
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