2006 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園児・小学校低学年の読みパフォーマンスへの認知言語的能力の影響
Project/Area Number |
06J07995
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小林 志帆 マヤ 上智大学, 外国語学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 読みの流暢性 / 読解 / 音韻認識 / Rapid Automatized Naming / 視覚・正字処理 / 音韻記憶 / イマージェント・リタラシー |
Research Abstract |
1)小学3年生の読み能力(音読と読解)と音韻認識,RAN,視覚処理,そして音韻記憶との間にどのような関係があるかを解明する. 音読の速さは数字RAN、音読の正確さは音韻認識(モーラ削除課題)、読解は無意味語復唱により予測された。 2)音韻認識課題としてモーラ削除課題と音素認識課題との2種類を試行し,それぞれの読みパフォーマンスへの予測度を検証する. 2課題を実施したが、小学3年生の音読の正確さを予測した課題はモーラ削除課題であり、音素認識課題の貢献度は低いものであった。 3)認知言語的課題それぞれと年長児の音読・読解の両者との間にどのような関係があるかを探求する. 現在、データを分析中。 4)前回の研究で音読課題の予測に貢献したRAN課題も左から右へとの横書き処理課題だけでなく縦書き処理課題も作成し,それらの処理速度と縦書き・横書きの音読パフォーマンスの関連を検証する. 年長児の縦書き・横書きRAN課題の呼称速度は若干縦書きの呼称速度が遅い傾向があったが、その差は有意ではなかった。 5)今回の調査では3〜4歳までに培われ,音韻認識能力などを含む発生しつつある(イマージェント)リタラシー・スキルの一端を担うプリント・アウェアネス能力を調査し基礎的資料を作成する. 本研究により、イマージェント・リタラシー・スキルのうちのプリント・アウェアネスは幼児の年齢と共に目覚しい発達を示し、今回行った設問の中で問われた知識のほとんどが年長児で獲得されることが示唆された。 今後の研究の展開 これまでの研究結果は全て横断的調査によるものであり、また今回取り上げた課題(音韻分析,RAN,視覚処理、音韻記憶)は読みの流暢性と読解の一部を予測したのにすぎず,他の認知言語的能力が読み能力予測に関っている可能性がある.今後,縦断的調査を実施することによって,日本人児童の読み能力に関る認知言語的能力のさらなる解明と,治療教育へのガイダンスを示唆することを目標とする.
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Research Products
(1 results)