2006 Fiscal Year Annual Research Report
カテゴリの知覚と形成における言語的符号化および言語ラベルの寄与について
Project/Area Number |
06J08013
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
末神 翔 上智大学, 大学院総合人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カテゴリカル知覚 / 言語的符号化 / 言語ラベル / 言語相対性 |
Research Abstract |
等しい差をもつ刺激対の弁別では、異なるカテゴリに属する刺激対の方が同じカテゴリに属する刺激対よりも弁別しやすいというカテゴリカル知覚が生じるメカニズムについて、言語的符号化および言語ラベルという観点から研究を行った。初年度である本年度は、まず、色のカテゴリカル知覚における言語的符号化の寄与を検討した。実験の結果、色刺激に対する言語的符号化に干渉を生じさせると、色のカテゴリカル知覚が消失することが示された。また、言語的符号化に対する干渉の強度を強くするほど、色のカテゴリカル知覚もより減衰・消失することも示された。さらに、刺激色に対して誤った言語的符号化を誘導すると、誤った言語ラベルに基づいて擬似的に色のカテゴリカル知覚が生じることも示された。これらの研究成果は色のカテゴリカル知覚において言語的符号化によって形成された言語ラベルが重要な役割を担うことを強く示唆するものである。 さらに、上記の色のカテゴリカル知覚に関する実験パラダイムを応用し、色以外のモダリティである形態のカテゴリカル知覚のメカニズムについても検討を開始した。実験では、アルファベットの「H」の側線分の角度を操作し、「H」から「A」に至る物理的に連続した刺激セットを用いた。しかし、実験の結果、物理的に連続した刺激セットではカテゴリカル知覚が生じなかった。このことは、カテゴリカル知覚が生じるには物理的ではなく心理的に等間隔な刺激セットを用いる必要があることを示唆しており、今後、形態のカテゴリカル知覚における言語的符号化の寄与を検討するにあたって重要な知見となる。
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Research Products
(1 results)