2007 Fiscal Year Annual Research Report
カテゴリの知覚と形成における言語的符号化および言語ラベルの寄与について
Project/Area Number |
06J08013
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
末神 翔 Sophia University, 総合人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カテゴリカル知覚 / 言語的符号化 / 言語ラベル |
Research Abstract |
等しい色差をもつ刺激対の弁別では、異なるカテゴリに属する刺激対の方が同じカテゴリに属する刺激対よりも弁別しやすいという色のカテゴリカル知覚について、言語的符号化および言語ラベルという観点から研究を行った。第2年度である本年度は、昨年度までに得られた研究結果、特に誤った言語ラベルが誘発されることがカテゴリカル知覚にどのような影響を及ぼすのかについての研究結果をまとめ、国内外の研究会や国際会議で報告した。さらに、これまでに得られた一連の研究成果を国際誌に投稿するため、英語論文を執筆中である。 また、これまでのカテゴリカル知覚研究においては「言語的なカテゴリカル知覚」対「非言語的なカテゴリカル知覚」という構図がみられるが,このように言語という概念を用いた二分法では説明不可能な現象も報告されている。例えば、言語獲得前の乳児でも色のカテゴリカル知覚が生じたという報告と、異なる言語圏では異なる色のカテゴリカル知覚が生じたという報告がある。このような問題に対応するため、言語・非言語という二分法ではなく、カテゴリカル知覚を包括的に説明可能な理論を提案することも本研究の目的である。このことに関して、カテゴリを潜在的に学習する場合と顕在的に学習する場合では関連する脳部位が異なり、言語の影響も異なるという知見が近年報告されている。このような知見に基づき、次年度ではカテゴリの学習方法とカテゴリカル知覚の関係について精力的に検討する。本年度ではそのための予備実験として、潜在的に学習したカテゴリと顕在的に学習したカテゴリの双方について、新たに獲得したカテゴリに基づいてカテゴリカル知覚が生じるかどうかを検討した。その結果、顕在的に学習したカテゴリによってはもちろん、潜在的に学習したカテゴリによってもカテゴリカル知覚が生じることが示された。潜在的に学習したカテゴリによってもカテゴリカル知覚が生じることを示した例は他になく、次年度から本格的に取り組むカテゴリの学習方法とカテゴリカル知覚の関係についての研究に対して、意義のある予備実験結果である。
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Research Products
(5 results)